Sinogi‐Kiriha ブログ
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双子の話
昔から納得がいかなかったことがある。
「ショウちゃんはよく出来るわね~」
「月読も天照を見習った方が良いと思うぞ?」
兄はよく褒められていた。
自分はそんな兄とよく比べられた。
自分より僅かに早く生まれただけの兄。
――兄は、どうしてあそこまで褒められるのだろうか?
テストの点数で親に褒められていた兄がいた。
そんな兄と比較された自分がいた。
親がいない時、さりげなく兄に「何点取ったのですか?」と聞いてみた。すると、兄の口から出た点数は自分と同じものだった。
それを知った自分は親にそのことを話した。
褒めて欲しかった。
認めて欲しかった。
自分も、兄と同じように出来るのだ、と。
しかし、親は何の反応を示さなかった。
一瞬、自分の中の炎が揺らめく。
それを無理矢理に抑えて、俺は笑顔を浮かべたまま立ち去った。
何故皆兄を褒める?
何故俺を見てくれない? 褒めてくれない? 認めてくれない?
成績も、顔も声も、背丈も、何もかも“同じ”と言って過言ではないのに?
褒めて欲しくて、認めて欲しくて、見て欲しくて
こんなにも、こんなにも、俺は頑張っているのに……っ
どうして誰も 俺を見てくれないんだ!?
昔から不思議に思っていたことがある。
「ショウちゃんは偉いわね~」
「他の奴にも見習ってもらいたいな」
自分はよく褒められていた。
親に撫でられた記憶はたくさんある。
周りの人達にも褒められた記憶も、たくさんある。
だけど、
――弟が褒められているところを、一度も見た事がない。
そんな筈はないだろう、自分の中で記憶をさかのぼってみても、それらしいエピソードに繋がるものが出てこない。
昔、弟が「何点取ったのですか?」と聞いてきた時があった。正直に答えてみると、弟は驚いていた。
聞いてみたら弟も同じ点数らしい。
「そうなんだ! じゃぁ、お前も父さんや母さんに褒められたんだな」
何気なく、当たり前の事だと思って出た言葉に対して、弟がどんな表情を浮かべていたかは覚えていない。
だが、「えぇ、貴方と同じように 褒められましたよ」と言っていたはずだから、笑顔だったのだろう。
とても嬉しそうな、笑顔だったのだろう。そう思う。
でも、なぜかアイツが、アイツの友達と話しているところを見た事がない。
「高原君、勉強教えてよ。」
オレに勉強を教えてと頼んできた、弟と同じクラスの女子に聞いてみた。
「月読には頼まないのか?」
その問いに女子は最後まで答えてくれなかった。
成績も、顔も声も、背丈も、何もかも“同じ”と言って過言ではない。
いつも笑顔を浮かべていて、穏やかで、平和主義者で、ケンカなんかしたくないと言っていた、優しい優しい、オレの弟。
なのに、どうして?
「なぁ、月読」
同じ勤務先で遭遇した弟に尋ねてみようと思った。
「お前って、親に褒められた事って あるよな?」
兄は唐突に変な事をこちらに聞いてきた。
その存在に対し嫌悪しか覚えない己の身体を押さえつけながらも、表面上は笑顔を浮かべて答えて見せた。
「そりゃ 勿論、ありますよ。 それがどうしたんですか?」
笑顔で答えが来た。
その答えにオレは安堵を覚える。
「……そっか、そうだよな! 悪いな、変な事聞いて。 じゃ、オレ授業あるから。じゃぁな!!」
勝手に安心して、兄は笑顔で立ち去った。
此方も笑顔で兄を見送る。
その中には、激しい激しい嫉妬の炎が今も燃え盛っている。
「――バカな奴…」
生徒も教師もいない空間で、ただ一人俺は低い声で呟く。
ようやく理解した。
“月”は、どう足掻いても“太陽”には及ばない。
太陽の光を反射して、自分が光っているように見せている存在が、認められる“筈がない”。
唇を少し噛んでいたようで、口元に紅い一筋が伝う。
誰もいない空間。
その目に宿る感情は非常に明確なものだった。
「あの野郎は何も見てねぇ」
どこかの神話にある、月を追いかける狼の名の意味と同じ
「何一つ、見ちゃいねぇ……っ!!」
憎悪が。
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ジャンルはよろず、
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